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Case 02. 画像×食品

気泡構造の解析による食感評価

食感は、おいしさに非常に重要な要因ですが、これまでは熟練者の官能評価で行われてきました。
GeXeLでは気泡構造を解析することで、食感の客観評価を実現しています。

従来の課題

パンをはじめとする食品の「ふんわり」「もちもち」「歯切れ」といった食感は、長らく熟練者の官能評価に依存してきました。官能評価は、判定の一貫性や再現性の確保が難しく、担当者の入れ替わりに伴うノウハウの継承も課題となります。

しかし、顕微鏡画像から気泡や組織を人手で計測する従来法は、測長ソフトを併用しても多大な時間と労力を要し、しかも気泡同士が“つながって”誤認識されるなど、画像解析の精度にも限界がありました。結果として、研究開発や品質管理の基準が主観に依存することになり、開発サイクルの長期化や品質のばらつきなどの課題となっていました。

当社技術による課題解決

GeXeL(ジクセル)は、パン断面画像から気泡領域のみを高精度にセグメンテーションすることでこの問題を解決します。画像をアップロードするだけで、数分で気泡の密度、サイズ分布、形状(円形度・アスペクト比)、配向(異方性)、空隙率(ポロシティ)などの幾何パラメーターを一括算出できます。

パンの食感に対して重要と考えられている幾何パラメーターには、
①空隙率(ポロシティ)と気泡膜厚(薄いほどソフトになりやすい)、
②気泡サイズ分布と数密度(きめ細かさや粗さの指標)、
③形状指標(円形度・アスペクト比)、
④配向・異方性(気泡の向きと力学応答の方向依存)、
⑤気泡同士の連結性(開孔構造の程度)
などが挙げられます。

これらの幾何パラメーターは、機械物性(硬さ・弾性・咀嚼時の変形挙動)や官能特性と体系的に関連づけて議論されてきました。画像解析で定量された微細構造がテクスチャの物理指標と結びつくことが報告されています[1]。さらに、焼成中の気泡合体(コアレスセンス)がサイズ分布を広げ、粗大孔の出現や異質性の増大を通じてクラムの食感に影響すること、またパン内部は高い連結性を持つ開孔構造が支配的であることも示されています[2]。

当社の検証では、空隙の向きと「歯切れ」との間に相関が得られています。これにより、「縦長気泡が優勢で引きが強い」「丸みが強く歯切れ良好」といった官能表現を幾何パラメーターで説明し、配合・発酵条件・焼成条件とテクスチャの因果を素早く探索し、条件を改善することが可能になります。

パン断面画像に気泡領域をセグメンテーションした解析結果

他事例への応用例

本技術は「画像から食感を数値化する」という共通の枠組みで、麺類(気泡・デンプン・グルテン網目の評価によるコシ・歯切れの最適化)、ビール・炭酸飲料(泡の発生・持続性や泡径分布の定量化)、培養肉・代替肉(組織配列・細胞密度・空隙率と口当たりの関係把握)、冷凍食品(冷凍前後の細胞画像比較による細胞破壊と食感変化の可視化)へ展開できます。

GeXeLは、これまでなかった「新しい食感、おいしさ」の開発をサポートすることで、世の中に新しい価値を社会に編み込みます。

参考文献

  • [1] Scanlon MG, Zghal MC. Bread properties and crumb structure. Food Research International. 2001;34(10):841–864.
  • [2] Wang S, Austin P, Bell S. It's a maze: The pore structure of bread crumbs. Journal of Cereal Science. 2011;54(2):203–210.

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